■企業情報 ・中国地方エリア ・卸売業 ・資本金1,000万円 ・年商3億5千万円 ・従業員数8名 パート15名 |
■相談経緯 経営者本人ではなく、経理を担当している息子から問い合わせが度々あった。元々は、母親が経理を数十年担当していたが年齢もあり息子に交代。 毎月銀行からお金を借りては銀行に返済に充てる状態がもう何年も続いており、金融機関から来月以降の借入が厳しいと伝えられ、どうすればいいのか不安になっていた。 資料を見た限り、決算書も全く実態を伴っておらず、経理体制も杜撰であったが、何よりも問題なのは、すでに短期的な資金繰りが回らないことは誰の目にも明白だったことだった。 |
■具体的な問題点と解決手段 年商3億5千万前後だが、メガバンク含む10行(都市銀・地銀・公庫・組合など)から長期借入金計2億5千万・短期借入金4500万円、その他社長個人負債が6千万。 相当な粉飾決算のため、まずは実態を把握するために、財務デューデリジェンスを実施。 決算ベースでの実態を把握、次に直近の試算表で現況確認したところ、毎月平均200万前後の営業損失に加えて、年間も支払利息だけで1,300万円。それ以外に、社長個人の借入返済が毎月30万程度。個人資産として自社マンションを保有、月額40万程度の家賃収入はあるが、個人でも債務超過状態。 いかんせん、来月の資金繰りが回らない状態であるため、緊急避難的に当月の銀行返済をストップ。直前まで、資金繰りを回すために粉飾試算表にて借入を実行していため、金融機関が条件変更=リスケジュールに相当難色を示すことは想定されたが、実行せずに会社は回らないことを社長・息子によく理解して頂いた。 想定どおり、当初金融機関は全くリスケジュールに応じなかったが、改善計画書など携えて1行づつ足繁く通い、ここでは記載できないが、状況に応じた交渉を繰り返し、最終的にはリスケジュール申請から約半年後に全行一致にて同意。 これで、この時点で年間4,800万円のキャッシュフロー改善。 しかし、月次ベースで200万前後の営業損失である以上、業務改善は必須である。リスケジュールの金融対策を実施すると同時に、まずは経費削減に着手。 ・製品化できない在庫の廃棄による保管料削減40万/月→3万/月 ・赤字事業からの撤退による損益改善+販促費削減 25万/月→0 ・原価管理の見直し実行 平均粗利率22.5%→26.5% ・保険や積立の見直し ・全社員支給の燃料カードの月次利用確認 ・やる気の無い従業員の自主退職30万/月→0 ・その他、社長のリスケジュール 月返済額70万/月→25万/月 ・他、空席率が高く、赤字となっている個人資産の賃貸マンション売却 上記などを実行し、年間で4,000万以上の経費削減に成功。キャッシュフローも大幅に改善。10年ぶりの営業黒字確保、資金繰りも大幅に改善。 更に、金融機関に対し金利の減免を依頼。年間支払利息1,400万円を780万に削減。 現在、売上も回復し年間1,200万円の営業利益を確保。毎月決算時にプロラタ返済(残団按分)にて元金も返済中。今後の見通しは非常に良好である。 |